2005/02/13

『虜人日記』を読み終えた

昨夜、小松真一氏の『虜人日記』を読み終えた。山本七平氏の『なぜ日本は敗れるのか』のベースとなっている本である。
戦中、一般企業に勤める氏がその技術を買われて軍に徴用されフィリピンに赴任、ブタノール製造のための技術指導や工場立ち上げ、戦況の悪化でジャングル内へ逃避し自活生活、終戦後の収容所生活から帰国までを、ほぼリアルタイムで記録したものである。日本の組織や日本人について考えさせられる内容である。戦後数十年たって問題として騒がれるようなことをすでに予見しているところもあり、興味深い。
内容そのもののことではないが、ほぼ現在の私と同じ年齢でこれだけの内容を残しているということ、また、30年近くこの記録は銀行の金庫に保管され家族もその内容を知らなかったことから、氏の死後になってはじめて見出され、特に日々直接言葉を交わすことができた家族に、氏の生前の考え方がはじめて伝わったということが息子さんの後書きにあり、記録することの重要性を感じた。